AIイラスト生成の舞台裏:夢の中の下関風景が生まれるまで
今回は、私がAIと共に創り上げた、この記事のアイキャッチ画像にもなっている幻想的な風景イラストが、どのようにして生まれたのか、その試行錯誤の過程を詳しくご紹介します。AIイラストの魅力は、言葉(プロンプト)を通じて、頭の中にある漠然としたイメージを具体的なビジュアルへと変換できる点にあります。しかし、理想のイメージにたどり着くには、**プロンプトを段階的に洗練させていく「プロンプトエンジニアリング」**のプロセスが欠かせません。
この記事では、一枚のAIイラストが完成するまでの、私の思考の流れと、それに伴う英語プロンプトの変化をステップバイステップで解説していきます。AIアートや画像生成AIに興味がある方、Stable Diffusionなどのツールで思い通りのイラストを作りたいと考えている方の参考になれば幸いです。
始まりは「夢の中の風景」というシンプルなアイデア
全ての始まりは、「夢の中で見るような、非現実的な風景をAIで描いてみたい」という漠然としたアイデアでした。そこで、まずは非常にシンプルなプロンプトから試してみることにしました。
- 初期プロンプト(英語): surreal landscape from a dream with impossible structures
- 思考(日本語): まずは「夢の中の超現実的な風景」と「ありえない構造物」というキーワードだけで、AIがどのようなイメージを生成するか見てみよう。
このプロンプトで生成された画像は、確かに奇妙で興味深い雰囲気を持っていましたが、全体的にぼんやりとしており、具体的なイメージの深みや、見る人を引きつける独自性に欠けていると感じました。ここから、より魅力的なAIイラストを目指し、プロンプトを具体化していく旅が始まります。
プロンプトエンジニアリング:理想のイメージへの探求
初期の結果を踏まえ、より詳細な指示を与えることで、AIが生み出すイメージをコントロールしようと考えました。参考にしたのは、Stable Diffusionのプロンプトに関するガイドなどです。
ステップ1:スタイルと基本的な情景の追加
まず、画像のスタイルと基本的な情景を具体的に指定することから始めました。
- 思考(日本語): もっと写実的で、映画のワンシーンのようなドラマチックさが欲しい。「超現実的」なスタイルを「ハイパーリアリスティック」に、「夢のような」構造物が「岩場の海岸」の上に浮かび、「夕暮れ時」の「映画的な照明」で照らされている、という情景を指定してみよう。
- プロンプト(英語): hyperrealistic surreal landscape, dreamlike impossible structures floating above a rocky shore, cinematic lighting at dusk
この変更により、海の上に浮かぶ島やねじれた崖のような構造物が現れ、より具体的な風景として描かれ始めました。しかし、構造物のデザインがやや混沌としており、当初目指していた「夢のような」幻想的なムードがまだ十分に表現できていないという新たな課題が見えてきました。
ステップ2:物語性と場所の特定
次に、風景に物語性を持たせ、より具体的な場所を設定することで、リアリティとオリジナリティを加えようと試みました。私の地元であり、インスピレーションの源でもある下関の風景を取り入れることにしました。
- 思考(日本語): 「映画的」な雰囲気を維持しつつ、構造物を「重力に逆らう塔」として具体化。場所を「下関の岩場の海岸」に設定し、現実感を出すために「漁船」を配置。光は「ムーディーな青い照明」で、全体の「詳細度」を上げる指示も加える。
- プロンプト(英語): cinematic surreal landscape, floating islands with gravity-defying towers, rocky Shimonoseki shore at dusk, fishing boats below, moody blue lighting, highly detailed
漁船が加わったことで風景に生活感が生まれ、下関の海岸という設定がリアリティを増しました。しかし、生成されたタワーのデザインが未来志向に寄りすぎてしまい、かえって「夢のような」雰囲気からは少し離れてしまった印象です。理想のバランスを見つける難しさを感じました。
ステップ3:雰囲気とスタイルの再調整
未来的な硬さを和らげ、再び「夢のような」雰囲気を強調するため、質感やスタイルに手を入れることにしました。また、下関の港町としての側面を反映させる要素も加えてみます。
- 思考(日本語): 構造物のエッジを「柔らかく」し、全体を「絵画的なスタイル」で描くように指示。海にはアクセントとして、港の夜景を思わせる「ネオンのヒント」を「反射」させる。これにより、幻想的な雰囲気を保ちつつ、下関らしい産業的なエッジも表現できるのではと考えた。
- プロンプト(英語): dreamlike surreal landscape, impossible floating structures with soft edges, rocky shore at dusk, reflective sea with neon hints, painterly style, highly detailed
この調整で、柔らかいタッチの構造物と水面に映るネオンの光が、狙い通りの夢幻的な雰囲気をもたらし、イメージが大きく前進しました。 下関の風景と夢の世界観が少しずつ融合し始めた手応えを感じましたが、浮遊する構造物のデザインにもう少し個性が欲しいところです。
ステップ4:ネガティブプロンプトによる品質向上
ここで、AIイラスト生成において非常に重要な「ネガティブプロンプト」の活用を思い立ちました。これは、生成してほしくない要素を指定することで、画像の品質を高めるテクニックです。
- 思考(日本語): これまでのプロンプトに加え、「ぼやけた」「低解像度」「カートゥーン調」といった、望まない画風や品質を排除するネガティブプロンプトを追加する。同時に、スタイルを再び「ハイパーリアリスティック」に戻し、構造物をより「有機的」な形状に。全体の雰囲気を「瞑想的」にし、光の効果を「ドラマチック」に強調。画像サイズも指定する。
- プロンプト(英語): hyperrealistic dreamlike landscape, organic impossible structures floating above Shimonoseki’s rocky shore at dusk, contemplative atmosphere, neon reflections on water, dramatic lighting, highly detailed, 1024×1024 pixels, negative prompt: blurry, low detail, cartoonish
ネガティブプロンプトの効果は絶大でした。画像の鮮明さやディテールが著しく向上し、まるで溶け出したかのような有機的な構造物が空に浮かび、海面がネオンの光で妖しく輝く、非常に印象的な結果が得られました。岩場のリアルな描写が、非現実的な構造物との対比を際立たせています。かなり理想に近づきましたが、もう少しだけ、下関らしさを加えたいと考えました。
ステップ5:最終調整 – 個人的な風景との融合
最後の仕上げとして、私が普段、写真撮影やサイクリングを通じて親しんでいる下関の風景要素をさらに具体的に盛り込み、サイバーパンク的なテイストを加えることにしました。
- 思考(日本語): スタイルに「サイバーパンク」の要素を加え、「夢の風景(dreamscape)」と表現。背景に下関港を象徴する「漁船」と「産業用クレーン」を追加。シーン全体の雰囲気をより「瞑想的な表現」に。ネガティブプロンプトには、AIが生成しがちな不自然な要素「余分な手足」も追加して、完成度を高める。
- 最終プロンプト(英語):
hyperrealistic cyberpunk dreamscape, organic impossible structures floating above Shimonoseki’s rocky shore at dusk, fishing boats and industrial cranes in the background, neon reflections on water, contemplative expression in the scene, dramatic lighting, highly detailed, 1536x1536 pixels, negative prompt: blurry, low detail, cartoonish, extra limbs
この最終プロンプトによって生成されたのが、この記事のアイキャッチ画像として皆さんにご覧いただいているAIイラストです。夕暮れのドラマチックな光の中、下関の岩場の海岸線と港の風景を背景に、有機的で非現実的な構造物が浮かび、水面にはネオンが反射する…。私の個人的なインスピレーションと、AIによるサイバーパンク的な夢の風景が見事に融合した作品となりました。
まとめ:プロンプトエンジニアリングで広がるAIアートの世界
今回のプロセスは、AIイラスト生成におけるプロンプトエンジニアリングの重要性を改めて示してくれました。
- シンプルなアイデアから出発し、
- スタイル、設定、ムード、構成要素などを段階的に具体化し、
- ネガティブプロンプトで品質を向上させ、
- 個人的な要素を融合させることで、
当初の漠然としたイメージを、個性的で深みのあるAIアート作品へと昇華させることができました。特に、生まれ育った下関の風景という個人的なテーマをAIの技術と組み合わせることで、他にはない独自の表現が生まれたと感じています。
AIアートは、誰でも手軽に、そして奥深く創造性を追求できる素晴らしいツールです。この記事が、皆さんがAIを使って自身のアイデアやインスピレーションを形にするための一助となれば嬉しいです。ぜひ、あなただけのプロンプトを探求し、AIアートの無限の可能性に挑戦してみてください。
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