「禁断の図書館」のAIアートを創造する:プロンプト開発の思考プロセス

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目次

はじめに:「禁断の図書館」というコンセプト

AIアートの魅力は、想像の世界を視覚化できる点にあります。今回は「禁断の図書館」という神秘的で魅力的なコンセプトに取り組みました。知識の力と危険性の両面を表現するこのテーマは、多くの物語や伝説に登場する要素でありながら、個人的な解釈の余地も大きいテーマです。

初期の草案プロンプトは単純なものでした:

forbidden library with chained books, magical seals, warning symbols, ancient knowledge guardians

しかし、これだけではAIが生成する画像は平凡なものになりがちです。本記事では、より印象的で独創的な「禁断の図書館」のイメージを生み出すために、プロンプトを段階的に発展させていった過程を共有します。

プロンプト開発の第一段階:コアコンセプトの確立

まず、「禁断の図書館」というテーマの核心部分を明確にする必要がありました。何が「禁断」なのか、なぜ書物が鎖で繋がれているのか、誰がその知識を守っているのかを考えました。

試行錯誤①:基本要素の強化

  • 日本語:禁断の古代図書館、鎖でつながれた魔導書、警告の印、知識の守護者
  • 英語:ancient forbidden library, chained magical grimoires, warning sigils, guardians of dangerous knowledge

この段階で、単なる「図書館」から「古代の禁断の図書館」へと発展させました。また、「books」を「magical grimoires(魔導書)」に変更し、「seals」を「sigils(印章)」に変えることで、より神秘的なニュアンスを加えました。

第二段階:視覚的要素とアトモスフェアの追加

基本コンセプトができたところで、視覚的な要素とアトモスフェアを追加していきました。光や色、空間の感覚を伝えるキーワードを考えます。

試行錯誤②:雰囲気の構築

  • 日本語:薄暗い古代の禁断図書館、青い魔法の光で照らされた鎖付き魔導書、壁に刻まれた警告の印、霧の中に浮かぶ幽霊のような守護者
  • 英語:dimly lit ancient forbidden library, chained grimoires illuminated by blue magical light, warning sigils carved into walls, ghostly guardians floating in mist

この段階で、「薄暗い(dimly lit)」環境と「青い魔法の光(blue magical light)」という色彩要素を加え、守護者についても「霧の中に浮かぶ幽霊のような(ghostly guardians floating in mist)」という具体的なビジュアルイメージを追加しました。

第三段階:アーキテクチャと空間設計

図書館の建築様式や空間構成についても詳細に指定することで、よりリアリティのある画像を目指しました。

試行錯誤③:空間設計の詳細化

  • 日本語:天井高い円形の禁断図書館、螺旋階段と多層の書架、青い魔法の光に照らされた鎖付き古代の魔導書、石壁に刻まれた警告の印章、霧の中で本を監視する半透明の守護者
  • 英語:high-ceilinged circular forbidden library, spiral staircases and multi-level bookshelves, ancient chained grimoires illuminated by blue magical light, warning sigils carved into stone walls, translucent guardians watching over books in mist

ここでは「円形(circular)」の図書館という形状や、「螺旋階段と多層の書架(spiral staircases and multi-level bookshelves)」という具体的な建築要素を加えました。これにより、空間の奥行きや壮大さを表現できます。

第四段階:ディテールと雰囲気の強化

さらに細部の描写を充実させ、独特の雰囲気を醸し出すためのキーワードを追加しました。

試行錯誤④:細部の強化

  • 日本語:埃っぽい古代の円形禁断図書館、蝋燭と青い魔法の光に照らされた鎖付き羊皮紙の魔導書、赤く光る警告の印章が刻まれた風化した石壁、知識を守る幽霊のような半透明のフード付き守護者たち、揺れる影と漂う古書の香り
  • 英語:dusty ancient circular forbidden library, chained parchment grimoires illuminated by candles and blue magical light, weathered stone walls carved with glowing red warning sigils, hooded translucent guardians protecting knowledge, dancing shadows and lingering scent of old books

この段階では、「埃っぽい(dusty)」という経年感や、「蝋燭(candles)」という光源の追加、「羊皮紙(parchment)」という素材感、「風化した(weathered)」石壁、「赤く光る(glowing red)」印章など、より具体的で感覚に訴えるディテールを加えました。また、「揺れる影(dancing shadows)」や「古書の香り(scent of old books)」といった視覚以外の感覚も想起させる表現を取り入れました。

第五段階:アート様式と技術的指示の追加

最後に、生成される画像のアート様式や技術的な要素についての指示を追加します。これにより、AIに対してより明確なビジュアルスタイルを指定できます。

試行錯誤⑤:アートスタイルと技術指示

  • 日本語:埃っぽい古代の円形禁断図書館、蝋燭と青い魔法の光に照らされた鎖付き羊皮紙の魔導書、赤く光る警告の印章が刻まれた風化した石壁、知識を守る幽霊のような半透明のフード付き守護者たち、揺れる影と漂う古書の香り、詳細なファンタジーアート、ドラマチックな照明、8K解像度
  • 英語:dusty ancient circular forbidden library, chained parchment grimoires illuminated by candles and blue magical light, weathered stone walls carved with glowing red warning sigils, hooded translucent guardians protecting knowledge, dancing shadows, detailed fantasy art style, dramatic lighting, cinematic composition, 8K resolution

ここでは「詳細なファンタジーアート(detailed fantasy art style)」というアートスタイルの指定と、「ドラマチックな照明(dramatic lighting)」「映画的な構図(cinematic composition)」「8K解像度(8K resolution)」といった技術的な指示を追加しました。

第六段階:最終プロンプトの完成と微調整

これまでの要素を組み合わせつつ、冗長な部分を削除し、効果的なキーワードの配置を考慮して最終プロンプトを作成します。

試行錯誤⑥:バランス調整と最終化

  • 日本語:天井高い古代の円形禁断図書館、螺旋階段と多層の書架、蝋燭と青い魔法の光に照らされた鎖付き羊皮紙の魔導書、赤く光る警告の印章が刻まれた風化した石壁、知識を守る半透明のフード付き守護者たち、揺れる影、詳細なファンタジーアートスタイル、ドラマチックな照明、映画的構図
  • 英語:high-ceilinged ancient circular forbidden library with spiral staircases and multi-level bookshelves, chained parchment grimoires illuminated by candles and blue magical light, weathered stone walls carved with glowing red warning sigils, translucent hooded guardians protecting knowledge, dancing shadows, detailed fantasy art style, dramatic lighting, cinematic composition

最終的なプロンプトでは、各要素のバランスを考慮しつつ、AIが理解しやすい順序で配置しました。主要な物体(図書館)から始まり、その特徴(螺旋階段と多層の書架)、中心的要素(鎖付きの魔導書)、環境設定(石壁と印章)、登場キャラクター(守護者)、雰囲気(揺れる影)、そして最後にスタイル指定(ファンタジーアート、照明、構図)という流れです。

完成したプロンプトの実行結果と分析

最終的に洗練された英語プロンプトを使用してAIアートを生成したところ、当初想定していた「禁断の図書館」のイメージが見事に具現化されました。特に以下の要素がうまく表現されています:

  1. 空間構成: 高い天井と螺旋階段、多層の書架による立体的な図書館空間
  2. 神秘的な雰囲気: 青い魔法の光と蝋燭の明かりによる独特の照明効果
  3. 禁断の要素: 鎖でつながれた古代の書物と警告の印章
  4. 守護者の存在: 半透明のフード付き存在による監視と神秘性
  5. 細部の表現: 風化した石壁や古書の質感など細部までのこだわり

プロンプトエンジニアリングから学んだこと

この「禁断の図書館」のプロンプト開発過程を通じて、効果的なAIアートプロンプト作成について多くの知見を得ることができました:

  1. 基本から複雑へ: 単純なコンセプトから始めて、段階的に詳細を追加していくアプローチが効果的
  2. 視覚的要素の具体化: 色、光、材質、質感などの具体的な視覚要素の指定が重要
  3. 空間設計の明確化: 建築様式や空間構成を明確に指定することで奥行きのある画像が生成される
  4. 感覚的要素の追加: 視覚だけでなく、触感や嗅覚を想起させる表現も効果的
  5. 技術指示の併用: アートスタイルや技術的な指示を追加することで画質や雰囲気をコントロールできる

今後のAIアートプロンプト開発に向けて

「禁断の図書館」のプロンプト開発過程から得た知見を活かし、今後のAIアート創作では以下の点を意識していきたいと考えています:

  1. テーマの深掘り: 表面的なイメージだけでなく、そのテーマが持つ文化的・歴史的背景も考慮
  2. 対比の活用: 光と影、古代と現代、安全と危険といった対比要素を取り入れる
  3. 物語性の付与: 画像に物語を感じさせる要素を入れ込む
  4. 文化的参照の活用: 特定の芸術様式や文化的モチーフを参照することで深みを加える
  5. 感情の喚起: 見る人がどのような感情を抱くかを意識したキーワード選定

まとめ:創造的なAIアートプロンプトの力

単なる「禁断の図書館」という概念から、詳細で魅力的なビジュアルイメージへと発展させるプロセスは、AIアート創作の醍醐味です。プロンプトの各要素を段階的に発展させ、視覚的・感覚的な詳細を加え、空間構成を明確にし、アートスタイルを指定することで、心に残る印象的な画像を生み出すことができます。

このような創造的なプロセスはAIツールを使っていても、本質的には人間の想像力と言語能力に依存しています。AIは私たちの言葉を視覚化するツールであり、その使い方次第で無限の可能性が広がります。

下関の海から眺める夕陽のように、AIアートも私たちの心に残る美しいビジュアル体験を提供してくれます。これからも様々なテーマに挑戦しながら、AIアートの可能性を探求していきたいと思います。

皆さんも、ぜひ自分だけのプロンプトを作り上げる楽しさを体験してみてください。単語一つ、フレーズ一つが、驚くほど画像の印象を変えていくのを発見する喜びがあります。

最終プロンプト:

high-ceilinged ancient circular forbidden library with spiral staircases and multi-level bookshelves, chained parchment grimoires illuminated by candles and blue magical light, weathered stone walls carved with glowing red warning sigils, translucent hooded guardians protecting knowledge, dancing shadows, detailed fantasy art style, dramatic lighting, cinematic composition

このプロンプトで生成された「禁断の図書館」の世界を、是非じっくりとご覧ください。そこには、知識の力と危険性、探求と禁忌、保存と制限といった、相反する概念が共存する神秘的な空間が広がっています。


アイキャッチ画像はGPT-4による生成画像です

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この記事を書いた人

山口県下関市に住む30歳のフリーランスデザイナーです。地元の大学でグラフィックデザインを学び、東京で広告業界での経験を積んだ後、2020年に下関に戻りました。趣味は写真撮影とサイクリングで、自身のスマートホーム実践記録を中心に、IoT技術の基本から最新トレンドまで、地域に根ざした視点から、下関市ならではの生活課題へのテクノロジー活用事例も紹介していきます。

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